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終了報告

第53回高圧討論会 終了報告

 アールデコ調文化財建造物である大阪大学会館を利用して第53回高圧討論会を11月7日−9日の3日間開催し,好天にも恵まれ成功裡に執り行うことができたことを報告いたしますとともに関係各位に心から御礼申し上げます。今回の高圧討論会は幅広い諸学協会(共催6,協賛50,合計56団体)の協力を得て,参加者総数441名,講演総数339件(口頭発表190件,ポスター発表149件)と高圧討論会として最も盛大なものとなりました。大阪大学の3部局(理学研究科・基礎工学研究科・極限量子科学研究センター)と21世紀懐徳堂による会場確保に対する協力もあり,大学キャンパス内での実施が可能となり,討論会自己経費のみでの開催を実現することができました。

 今回の高圧討論会では,興味深い3シンポジウム(「ガスハイドレート研究の新展開」世話人:内田努氏(北海道大学)・菅原武氏(大阪大学),「コヒーレント放射光を利用した新しい高圧力科学」世話人:船守展正氏(東京大学)・石松直樹氏(広島大学)・近藤忠氏(大阪大学),「計算機による高圧物性研究の進展」世話人:鈴木直氏(関西大学)・長柄一誠氏(鳥取大学))を企画し,その形式や講演時間・運営方法など比較的自由に工夫を凝らして実施して戴き,シンポジウムによっては夜遅くまでの総合討論など新鮮な試みが見受けられました。またポスター賞エントリーの学生によるポスター発表が実施され,参加会員による審査と投票により5名の大学院生が選出され,ポスター賞が授与されました。

 討論会二日目は一般講演・シンポジウムに続いて,100件を越える一般ポスター発表がアセンブリーホールで盛大に実施され白熱の討論が見受けられました。その後,講堂では土`山明氏(京都大学大学院理学研究科教授)による特別講演「はやぶさサンプルの分析と今後の展望」と題して大変興味深いお話を貴重な写真を交えて判りやすくまたこの分野の研究の重要性を説いて下さいました。特別講演に引き続き,今年度の日本高圧力学会学会賞および奨励賞の授与式が執り行われ,巨海玄道氏(久留米工業大学)によって「複合極限下における物性測定装置開発とそれを用いた特異な電子状態を持つ物質の物性解明」と題する学会賞受賞記念講演が行われました。また奨励賞は,後藤優樹氏(徳島大学)・山田幾也氏(大阪府立大学)の両氏が受賞し,上床日本高圧力学会会長から賞状と副賞が授与されました。引き続き第24回日本高圧力学会総会が開催され,その後アセンブリーホールに戻って懇親会に移行しました。懇親会参加者は予想をはるかに超えた225名となり,実行委員全員がハッピ姿でお迎えしました。守時元会長の乾杯や鏡開きが披露され,また大阪人の意気盛んなところをお見せしようと頑張った「たこやき」体験・実演サービス(消防署の許可が得られず一旦は断念した経緯がある)には閉会時間を大幅に過ぎても大勢の人が残り,最後まで賑やかな懇親会となって大変好評でした。最終日にも最後の最後まで口頭発表が続けられ,非常に実り多い高圧討論会となりました。

 第53回高圧討論会は,懇親会含めすべての行事を大学キャンパス内にある文化財建造物で実施したため,予期せぬ制約が生じ参加者の皆様には不自由をお掛けした点もあろうかと存じますが,皆さんのご理解とご協力により成功裡に幕を閉じることができました。討論会の自己経費による実施,参加者全員投票によるポスター賞選考など新しい試みも実施できました。学会活動・研究活動の原点を見つめ直しながら未来を展望する場を提供できたのであれば幸いだと思っております。最後に討論会実施に向けボランティアとして多大な協力を戴いた大阪大学の学生・院生の皆さん,さらに高圧討論会実行委員はじめ日本高圧力学会事務局および関係者の皆様の長期にわたるご尽力とご協力に対して心より御礼申し上げます。

第53回高圧討論会実行委員長 大垣一成
(大阪大学大学院基礎工学研究科)

会場となった大阪大学会館
ポスター発表会場の様子(ポスター賞審査中)
懇親会での鏡割
たこ焼き実演
(株)道頓堀赤鬼のご協力により実行委員も腕を振るいました。
ポスター賞表彰式

《高圧力の科学と技術 第22巻第4号(2012年11月20日発行)会告に掲載》