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第51回高圧討論会 終了報告

このたびは、第51回高圧討論会を10月20日−22日の3日間、成功裏に行うことができましたこと、ご報告いたします。晩秋の寒さを避けて今年は例年よりも1カ月開催を早め、講演申し込みや講演要旨の申し込み締め切りも早まり、皆さんにご迷惑をおかけしましたが、例年にもまして盛況な学会が開催できましたことをお礼申し上げます。今回の高圧討論会は共催学協会5、協賛の学協会44、合計49学協会のご協力を得て、参加者総数354名、講演総数306件(口頭発表183件、ポスター発表123件)、懇親会参加者178名と大盛況のうちに終了することができました。高圧討論会は20年前に、ここ仙台で設立されました。奇しくも会場は、同じ仙台戦災復興記念館でした。今回は、日本高圧学会設立20周年を記念して、特別講演も企画されました。


ポスター賞を受賞された皆さん

今回の高圧討論会では、4つの興味深いシンポジウムが開催されました。第一日目には「高圧生物科学:ミクロからマクロへ」(世話人:徳島大学 松木 均氏)、第一日目と二日目には「高圧中性子科学」(世話人:北海道大学 永井隆哉氏、東京大学 鍵 裕之氏、愛媛大学 井上 徹氏)、第一日から三日目まで「超臨界の科学と技術」(世話人:産業技術総合研究所 鈴木 明氏、東北大学 阿尻雅文氏)、三日目には「レーザーショック:高強度パルスレーザーが切り開く科学と応用」(世話人:大阪大学 尾崎典雅氏、熊本大学 真下 茂氏)が開催され、高圧科学の広い応用分野におよぶ多様な講演が行われました。第一日目には、ポスター賞エントリーポスターの審査が行われ、3名の大学院生がポスター賞の栄誉に輝き、懇親会においてポスター賞が授与されました。


ロバート・リーバーマン教授の記念講演

記念講演会に聞き入る参加者

今回の高圧討論会では、高圧学会設立20周年ということで、二日目には長年日本の高圧科学者と交流の深いニューヨーク州立ストーニーブルック大学・教授(前COMPRES会長)ロバート・リーバーマン教授と学会設立に大きな貢献をされた渡部康一慶応大学名誉教授をご招待し、貴重な特別講演をしていただきました。リーバーマン教授は、「Bob-san and High Pressure Science and Technology in Japan: A 40-Year Love Affair」と題して 30年以上におよぶ日本の高圧研究者との交流の歴史を、多くの会員の若かりし頃の興味深い写真を交えて語ってくださいました。また、渡部教授は、「熱物性研究と国際貢献」と題する特別講演として、日本の優れた高温高圧下での流体の熱物性研究の紹介と日本の若手研究者へ国際活動の重要性を説いてくださいました。これらの特別講演は、日本の今後の高圧研究に大きな示唆を与えるものでした。記念講演に引き続き学会賞および奨励賞の授与式が行われ、毛利信男東京大学名誉教授によって「低温・超高圧発生技術の確立とその物性研究への応用」と題する学会賞記念講演が行われました。


懇親会の恒例の鏡割り

記念講演、総会につづいて、二日目には、懇親会が開催されました。懇親会には当日参加者が予想を超えて多く178名の参加者を迎え大盛況でした。参加者は、宮城県の地酒および郷土料理に舌鼓を打ち、楽しいひと時を過ごしました。特に、これまでにも増して、学生・大学院生などの若手研究者が多く参加し、高圧研究が若手に大いにアピールする分野となっていることを感じて、大いに頼もしく思いました。今後も、若手の研究者には、懇親会に参加して先輩研究者に大いに自己アピールをして積極的に自分を売り込んでもらいたいと思います。また、懇親会でアトラクションとして、東北大学の管弦楽部員による弦楽四重奏が披露され好評でした。

今回の高圧討論会は、事務局が京都から東京のワーズに移って初めての学会でした。この学会の準備を行うに当たって、仙台の実行委員会の皆さんとともに事務局のワーズの皆さんの成功に向けたご努力によって、無事に高圧討論会を行うことができました。また、この高圧討論会を準備するにあたって白岩さんのスケジュール表とメモが大変役に立ちました。白岩さんにも深く感謝いたしたいと思います。今回の仙台での高圧討論会では、できるだけ外部資金に頼らない自己経費による討論会の開催を目指しました。その結果、適切な金額で会場が確保できたことによりますが、無理せずに討論会を開催することができましたことは、今後の討論会の運営の参考にしていただけるものと思っております。最後に、この高圧討論会を開催するにあたって、会場の準備、実施、後片付けなどスムーズに運営を行ってくださいました大学院生・学生の皆さん、実行委員会の職員・教員の皆さま、事務局ワーズの皆さまにこころから感謝いたしたいと思います。

第51回高圧討論会実行委員長 大谷栄治
(東北大学大学院理学研究科)

日本高圧力学会事務局
kouatsu_office(at)highpressure.jp