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高圧力学会の新たな出発に向かって

日本高圧力学会会長 上床 美也(東京大学物性研究所)

上野会長近影1957年に始まった高圧討論会が2011年11月に初めて沖縄で開催されました。これで南は九州沖縄から北は北海道までの各地区で開かれた研究会と名実ともになりました。第1回から数えて52回目の高圧討論会であり,1989年の高圧力学会創立後21年目の討論会でした。この間にAIRAPTが3回(第4回(1974年),第16回(1997年),第22回(2009年))開催され,国際的にも日本を代表する研究会および組織として運営されて来ました。これらは,これまでの諸先輩方の多大なたゆまない努力による裾野の広がりの賜です。

本高圧力学会は,圧力技術を基軸とした分野の異なる企業および研究者の集まりであり,専門分野が違うからこそ活発な意見交換がなされる,特徴ある学会であることは会員の皆さんの意見の一致するところだと思います。この様な本学会の特徴である異分野間の交流が今まで以上により活発になり,このことが,多くのユーザーを生み,科学の大きな進歩を促す原動力となればと期待しています。この潜在能力(原動力)が十分開花され,各分野での研究がさらに活発に展開される様に,延いては新研究領域の誕生に繋がるような意見交換の場として,学会が有意義に機能される様にならなければなりません。この様な命題を支えているのが,高圧討論会の開催,会誌の発行,研究会等の開催,および内外の交流等であり,評議員・編集委員・事務局,一丸となって運営していく所存です。幸い経験豊かな副会長をはじめとした評議員会は例年に増して,若く,活気に満ちあふれています。

直面した問題としては,事務局移転および学会の法人化問題であります。事務局移転は今年度までずれ込んでおりますが,新事務局にとっての初めての討論会もつつがなく終了し,良い方向に進んでいると確信しております。会員の皆様には,今後,従来以上のサービス提供が可能です。法人化問題は,2008年の法制度の変更に伴い学会を法人として登録するかどうかを早々に決めなければなりません。まず,委員会を設置し,法人登録が学会員の利益につながるかどうかを判断します。法人化する場合,高圧力学会の解散,新法人の創立を行わなければなりません。大きなかじ取りであります。

10年ひと昔とよく言いますが,今年は学会創立21年目に当たり,第3期目へのスタートの年となります。伝統ある本学会の更なる発展のために微力を尽くさせていただきます。日本高圧力学会の新たな出発に向かって,会員諸兄姉のご支援,ご協力,宜しくお願いいたします。

〒277-8581 千葉県柏市柏の葉5-1-5 東京大学物性研究所
The Institute for Solid State Physics, The University of Tokyo, 5-1-5 Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba 277-8581

《高圧力の科学と技術 第22巻第1号(2012年2月20日発行)巻頭言》


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日本高圧力学会事務局
kouatsu_office(at)highpressure.jp