今年度の高圧討論会を北海道札幌市にて開催させて頂きます。高圧討論会は今回で第60回、人間でいうところの還暦を迎えることになります。また同時に、第30回高圧討論会において「日本高圧力学会」が設立されて30年という節目の年でもあります。さらに今年は平成に続く新しい元号の時代が始まります。このように幾重にも記念すべき年に高圧討論会を札幌で開催できますことを大変光栄に思っております。言うまでもなく、圧力は温度とともに巨視的な系を記述する重要なパラメーターですが、圧力そのものがサイエンスの目的や分野ではなく、その類の名前を冠した学会や研究会は多くはありません。一方、そのような学会は概して時間の経過とともに求心力が弱まり、専門分野に細分化していく傾向にあるように思います。しかしながら高圧討論会・高圧力学会は、設立当初からの、異分野の研究者が集い、さまざまな現象について圧力効果という観点から議論することに意義があるとする価値観を共有し、他分野のアイデアや手法を積極的に学び自分野の発展に結びつけるだけでなく、学際領域の新しいサイエンスの開拓の意識と意欲を維持し続けていることは特筆すべきことだと思います。
第60回高圧討論会の開催会期は10月23~25日と昨年より1か月早く設定させていただきました。10月下旬というと本州では山間部の木々がようやく色づき始めるころだと思いますが、札幌では市内の紅葉も見頃を終え、山々が雪化粧を始める時期になり、市街地でも最低気温が10℃を下回ることが普通になります。また、初雪の平年日が10月28日であることから、いつ雪が降ってもおかしくない時期でもありますので、お越しになる際はジャケットやセーターのほか薄手のコートなど暖かい服装をご準備ください。会場は、有名な道庁赤レンガ庁舎の裏手、北海道大学植物園に隣接する北海道立道民活動センター(かでる2・7)です。札幌市のホテルの多くはJR札幌駅とすすきの間にありますので、多くの皆さんのご宿泊ホテルから徒歩30分以内で通っていただくことが可能な会場です。また、札幌最大の歓楽街である大通り・すすきのエリアにも近く、一日の講演会を終えた後の充実したアフターをお過ごしいただけるものと確信しております。なお、懇親会はジンギスカンと生ビールを予定しております。
今回の開催地である札幌には、会場から歩いて15分ほどのところに北海道大学があります。残念なことに北大には高圧力学会の正会員が片手で数えられるくらいしかいないのですが、ご安心ください。運営は、室蘭工業大学、北見工業大学の方々など多くの高圧仲間が助けてくださることになっておりますので、参加者の皆様にご不便をおかけしないよう万全を期したいと思っております。新しい時代の日本高圧力学会のスタートに相応しい充実した高圧討論会となるよう、何卒多くの皆様方の積極的なご参加をお願い申し上げます。
第60回高圧討論会実行委員長 永井 隆哉
(北海道大学 大学院 理学研究院)