終了報告
第56回高圧討論会を平成27年11月10日−12日の三日間,広島市JMSアステールプラザにおいて大過なく無事開催できましたことを,ここにご報告致します。多くの学協会(共催2,協賛51,後援1, 合計54団体)の協力を得まして,参加者総数391名,講演総数270件(口頭発表156件,ポスター発表114件)でした。
今回で四回目となる広島での開催におきましては,11月中旬のウイークデー中日ということで少し趣が例年と違ったかと思います。三日間とも天気に恵まれ,まずまずの気温で安堵しました。JMSアステールプラザの1~5階に位置する市民ホール,多目的スタジオ,会議室,音楽室,視聴覚室、及び中ホールを会場として利用しましたので,各会場への移動には慣れるのに少し時間が掛かったかと思います。例年と異なり公共の設備使用で,開始時間の調整によるプログラム編成やゴミの削減を図るため飲料サービスなしでお茶菓子のみの休憩所として対応しました。
市民ホール内に企業展示,ポスター会場,及び休憩所が設けられました。一階で明るく十分なスペースが確保され大変好評だったと伺いました。討論会初日には,一般講演とともに,36件のポスター賞エントリーの学生によるポスター発表と24件の一般ポスター発表が行われ,正会員,シニア会員による審査と投票により5名の学生会員が,ポスター賞を受賞されました。分野別のエントリーに分けた試みが行われましたが,例年通りの投票数での選考と基本的には同じ結果になっています。これらのポスターは,翌日の懇親会場でも掲示され,皆さんに閲覧していただきました。今回の高圧討論会におきましては,初日に「高圧力生命科学シンポジウム」(世話人:大前英司(広島大学)・三本木至宏(広島大学)),「最新技術が拓くマルチメガバール地球惑星科学」(世話人:土屋卓久(愛媛大学)・尾崎典雅(大阪大学)・舘野繁彦(岡山大学)),「水素にかかわる高圧科学シンポジウム」(世話人:町田晃彦(日本原子力研究開発機構))の三つのシンポジウムが企画され,いずれのシンポジウムにおいても多くの方々が参加し,活発な討論が行われました。また,「若手の会」や 「次回高圧討論会準備会」などの活動が講演終了後に行われました。
討論会二日目は,シンポジウム「コヒーレント放射光を利用した新しい高圧力科学 III」(世話人:鈴木昭夫(東北大学)・石松直樹(広島大学))での講演と一般講演に続いて58件の一般ポスター発表がポスター会場で盛大に行われ,いずれの会場でも活発な討論がなされました。午後には2階の中ホールにて,山本寿英 氏(マツダ株式会社 技術研究所 次世代パワーソース研究部門)による特別講演「マツダの内燃機関進化構想について」が行われ,自動車パワートレインにおける内燃機関の役割・理想追求,環境技術戦略,及び電気自動車とハイブリッドとの関連性などについて大変興味深いお話を分かりやすく講演して戴きました。マツダの未来エンジン開発にかける意気込みが十分に伝わったのではないかと思います。特別講演に引き続き,今年度の学会賞および奨励賞の授賞式が行われました。学会賞は赤荻正樹氏(学習院大学),奨励賞は太田健二氏(東京工業大学)と岡 研吾氏(中央大学)の両氏がそれぞれ受賞されました。授賞式の後,「高圧実験と熱測定による地球内部物質の相転移および高圧結晶化学に関する研究」と題して赤荻正樹氏により学会賞受賞記念講演が行われました。続いて,第27回日本高圧力学会総会が開催され, 7件の議案が討議・承認されました。その後,参加者は隣接する広島市文化交流会館に徒歩移動し,懇親会が行われました。
懇親会へは231名の皆さんに参加戴きましたので,会場が少し狭く感じられるほどでした。祝辞,挨拶,鏡開きと続き,乾杯の後,懇親会の宴が始まりました。今回の懇親会では,広島県や近県の高品質な食材を使った料理や飲み物を量的に十分提供できるよう手配致しましたので,懇親会が終了した時点でもお酒が残っている状況となり,皆さんには例年恒例の出し物がなくても十分に満足して戴けたものと思います。懇親会中盤にはポスター賞の表彰式が行われました。学会賞,奨励賞、ポスター賞各受賞者の喜びの声も懇親会を盛り上げる要因になりました。終宴近くには,次回高圧討論会が2016年10月23日の週、26〜28日を中心につくば市で開催されることが,次回実行委員長の亀卦川卓美氏により紹介されました。その後,実行委員へ労いの拍手で参加者からの温かいお礼を頂きました。閉会の辞を持って,余韻を残しつつも終宴の運びとなりました。
討論会最終日にも多くの一般講演として口頭発表が行われ,活発な討論がなされました。午後のセッションの最後には,事前アンケートによる回答結果を踏まえ,今回共同利用施設案内の「将来の高圧科学を考える会」を設け,愛媛大を中心としたグループからの活発な説明会が行われました。
以上のように,三日間に亘って非常に実り多い高圧討論会を開催でき,参加者にとっては今後の研究,教育,社会貢献に少しでも役立つ交流の場になったのではと思います。今回の高圧討論会は広島で21年ぶりの開催となりましたが,週の中日に開催ということもあり,講演件数や参加者数が動向を危惧しました。反省点も多々あったかと思いますが,参加者皆さんのご理解とご協力もあって,ほぼ例年通りの規模でなんとか実施できました。14名の実行委員とともに,プログラム作成をお手伝い戴いたシンポジウム世話人と20名のアルバイト学生の献身的協力もあって,無事に開催終了にたどり着くことが出来ました。また,中国電力技術研究財団からの助成金支援,要旨集への広告企業,会場での展示企業,日本高圧力学会事務局スタッフのご協力を戴きましたことに対し,実行委員一同心より感謝申し上げます。
第56回高圧討論会実行委員長 関根 利守
(広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻)
《高圧力の科学と技術 第25巻第4号(2016年 1月 8日発行)会告に掲載》