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会長の挨拶

持続可能な学会を目指して

日本高圧力学会会長 関根 ちひろ(室蘭工業大学 大学院工学研究科)

 私が日本高圧力学会に入会したのは,1996年で,30年前になります。その年に仙台で開催された高圧討論会に初めて参加しました。私は学生時代には,物性物理分野の実験を中心とした研究を行なっていましたが,高圧力技術を用いた実験研究の経験はなく,大学の助手の職についてから,高圧力を用いた研究を始めました。当時は,高圧装置の立ち上げと技術修得に悪戦苦闘する日々でした。当時の上司であった城谷先生より,本会は,産官学が連携して高圧力の科学・技術に関する最新情報を交換する場であるとお聞きし,高圧討論会に参加しました。討論会に参加していた多くの会員の皆様とは面識がなかったのですが,皆さん私の質問に親切・丁寧にご対応いただき,非常にアットホームな学会だと感じました。私がこれまで高圧力研究を続けてこられたのは,多くの会員の皆様の暖かいご支援のおかげです。その恩返しとして本会の発展のために微力ながら貢献したいと常々考えていましたが,2005年に,室蘭で高圧討論会が開催され,会員としてだけではなく学会運営にも携わる機会を頂きました。その後,評議員,編集委員長,副会長として,学会運営を経験させて頂き,このたび会長に選任していだだきました。伝統ある日本高圧力学会の会長を拝命しましたことは,身に余る光栄でございます。これまでの伝統を大切に,本会の活動のさらなる活性化に向けて,以下の事項に積極的に取り組みたいと考えています。
【学会運営方法の改善】
 コロナ禍および委託印刷所の変更などの影響で,学会誌の刊行が大幅に遅延しておりましたが,松木前会長,編集委員会の尽力により,現在は,予定通りの刊行が行われております。その一方で,特に編集委員の皆様には,遅れを取り戻すために発行ペースを早めるなど,大変な負担を強いることになってしまいました。また,編集委員だけではなく,近年,幹事等学会執行部の仕事量は増加しています。これは,学会会員の減少等により,一部の会員の方に学会運営に関する業務が集中する事態となっていることが考えられます。持続可能な学会運営を行うためにも,編集業務・幹事の業務の軽減は,急務であると考えています。学会誌の掲載内容の見直し,各幹事の補佐体制の充実など,会員の皆様と共に各業務内容の見直し・効率化を進めていきます。

【学生,若手研究者への支援の充実】
持続可能な学会活動には,若手会員の参加が不可欠です。多くの若手研究者が本会に入会して頂けるよう,これまで以上に魅力ある学会となるべく,学生海外発表奨励金など現在の若手支援のさらなる充実と新たな若手支援を考えたいと思います。

【ネットワークの強化】
本会には,大学,国立研究所,民間企業など,会員の皆様が所属されている機関は様々であり,また,その研究分野も多岐にわたります。持続可能な学会活動には,企業・大学等の研究者間のネットワークを構築できる機会や研究分野の垣根を超えた研究者が議論できる場を構築したいと考えています。

【国際的プレゼンスの向上】
第66回高圧討論会は,松山で AIRAPT-29,ACHPR-11と合同で開催されましたが,今後もAIRAPTやACHPRと連携しつつ,本会が国際舞台でより存在感をもって活躍できるように,可能な施策・支援を考えたいと思います。また,外国人留学生や外国人研究者にも本会に入会することで,メリットがあるサービスも提供できればと考えております。

現在,会員数の減少など本会が抱える課題は多いですが,歴代会長,幹事,評議員の皆様と連携し,一つ一つ解決していきたいと考えています。会員の皆様のご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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